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ある雨の日




























「んあ?急に空が曇ってきやがった。こりゃ、ひと雨きそうだな」

ナンパをしていた撩は空を見上げてボソッと呟く。
ついさっきまで、とてもいい天気で暑いくらいだったのに。
そこで合わせたようにゴロゴロと雷が鳴り出し、げ、と思った時、顔にポツリと雨粒があたったと同時に大粒の雨が一気に降ってきた。

「ウソだろ?!」

撩は独りごちると行き交う人に交じって走りだす。
公園の近くだったので、雨宿りができそうなところを急いで探し、やっと見つけて着いた時には服がびしょ濡れになっていた。

「うへ~。濡れちまった」

ふと見ると、撩に続いて何人かの人が慌てて入ってくる。
皆、一様に、ふぅ、とため息をつき、不安げな顔で空を見上げている。
その時、撩の隣に若い女性がやっぱり走って入ってきて、鞄からすぐにタオルを取り出し、身体を拭いている。
その彼女は、服がずいぶんと濡れて肌に服が張り付いていて、その危うい艶やかさについ見入る。

・・・おおっ、もっこりちゃん、色っぽいなー。

とデレッと顔を緩ませながらそんなことを考えて、ふとイヤな予感が頭を巡る。

・・・そういえば、香は?
今の時間だとキャッツか?

今、自分の隣にいる美女のような状態になってはいないか、とふと思い、もやもやとしたイヤな予感に眉を顰める。
一応だ、一応、と自分自身に念を押し、携帯を取り出して香にかける。

呼び出し音が鳴り、撩は周囲を見回しながら香が出るのを待つ。
何回かのそれの後「はい」と香の声がした。

「香?」
『あ、もしもしっ、撩?!』
「あぁ」
『すっごい雨ねー。すっかり濡れちゃったわ』
「え?おまぁ、濡れてるって今、外かよ?」
『うん。銀行に行った帰りにキャッツに寄ろうと思ったら、途中で雨が降ってきちゃってさ。急いで走って、今、コンビニの前で雨宿りしてるとこ』

撩は一瞬、眉間の皺を濃くする。
外にいたのか、とチッと舌打ちをしながら冷静になって訊く。

「で?どれぐらい濡れたんだ?」
『え?どれぐらいって・・・えーと、けっこう濡れて、服が肌にくっついて気持ち悪い』

確かに気持ちが悪いのだろう、イヤそうな声を出している。
撩はチラ、と隣を見ると、今も彼女は気になる部分を中心にタオルで一生懸命拭いている。

今はもう、彼女のことをそういう目で見られなくなった・・・というか、それどころではない。
香も今、まさに彼女と同じ状態になっているのだ。
おれと同じように、やっぱり香を見て、ニヤニヤと笑いながらそういう風に見る男がいても不思議ではない。

「今、どこにいるって?」
『え?だから・・・』

とどこにいるかを話す香に、そんなに遠くないか、と思い空を見上げる。
未だ、大雨が降っていて、それが弱まる気配すらない。
けれど、そんな状態の香を1人にしておくわけにもいかない。

「香。今からそっちに行くから、傘、買っとけよ」
『ちょっと撩?!アンタ、傘持ってないんでしょ?今はまだ雨が強いからそこで待ってなさいよ。弱まってきたら動けばいいでしょ?』
「ばーか。んなこと言ってる時間はないんだよ」
『なんでないのよ。洗濯は・・・って、あーーっ!!洗濯物を入れてくるの忘れたっ!まさか雨が降るなんて思わないくらい陽が照って暑かったのに、なんで雨が降るのよ。もーっ。あ、撩、もしかして洗濯物のこと心配してくれたわけ?』
「んなわけあるか。おれは―――」

・・・おまぁのことを気にしてんだよ。

それをグッと飲み込んで、話をまとめにかかる。

「とにかく!今から行くからそこで待ってろよ?絶対動くなよ!」
『ちょ・・・りょ』

ブチッ。

香が何か言いかけていたけれど、通話を途中で切った。
前を向くと、やっぱり豪雨というに相応しいほどの大雨だ。
撩は1回、大きく息を吐き出すと、思いっきり吸って、外へと飛び出す。

傘を持っていない身にこの雨は身体が重くなっていきキツいものがあるが、撩はゲリラ時代ですでに慣れているので、なるべく視界を良くしながら香が待つコンビニへと急いだ。



****



一方の香は、銀行に行った後、キャッツに行こうとしてこの大雨にあり、急いで走ったものの、方々に散らばる人を避けるのに必死で、コンビニに辿り着いた時にはすでに服はけっこう濡れていた。

鞄からタオルを取り出し拭いていくものの、服が肌に張り付いて、気持ちが悪い。
そこに撩から電話がかかってきて、なんだか今からこっちに来ると言う。
まだ雨足は強く、外に出られる状態ではない。
止めようと思ったら、撩に電話を切られ、それからすぐにかけ直したものの繋がらずに、携帯を握りしめて不安げな顔で外を見つめていたが、ふと傘を買っとけ、と云われたことに気付き、コンビニの中に入ってみたら、1本しかなくてギクッとしたものの、ないよりはましだ、とそれを持ってレジを済ませる。

元の場所に戻って外を見てもさっきとなんら変わったことはなく。
はぁ、とため息をつく。

「撩・・・」

諦めと不安を顔に書いた香が空を見上げて、傘をギュッと握った。
こんな日は視界が悪くなって、突然、誰かが飛び出してきたって反応が遅れてしまうかもしれない。
撩は、いつ誰に狙われてもおかしくないのだ。
それに、雨の日は・・・。
そこまで考えて、ふるふると首を振る。

「撩・・・。早く、来て・・・」

撩が無事に来てくれることだけを願い、自分が濡れるのも構わずに外に出てキョロキョロしていると、誰かが走ってくるシルエットが見える。
近くなってきて、やっとそれが撩だと気付いた香は、この雨の中、笑みをこぼした。

「撩っ!」

届かないと分かっていてもその名を呼び、駆け出そうとしたら撩の方が追いついて、ムッと不機嫌な表情で香の身体を押しやり、軒先へ雨から逃れる。

「おまぁは何やってんだよ!外にいたら濡れるだろっ」
「っ・・・撩が来るっていうから待ってたんじゃないっ」
「んなの、ここで待ってればいいだろ?」
「・・・っ・・・だって」

・・・撩のことが心配だったのよ。

ただ雨が降っているだけで何の心配してんだよ、と撩に呆れられそうで、それをやっぱり飲み込んで、頭を垂れる。

「・・・ごめんなさい」

小さな声で謝る香に、ふぅ、と小さく息を吐いた撩は、香の頭をくしゃっと撫でる。

「とにかくタオルで拭けよ」

撩はそう言いながら香の身体に視線を走らせる。
今、外に出ていたせいで、さっき撩の隣にいた彼女以上に濡れてしまっていた。
チッと舌打ちをして周囲を見渡せば、近くにいる男がやはり身体を拭いている香をそういう視線で見ていて、鋭い視線で相手を見やり、黙らせる。
撩の一睨みで、男達はビクッと身体を竦ませて、慌てて視線を逸らす。

そこで、撩は香が握っている傘に気付く。
雨は強さは変わらない。
止む気配を見せない雨に、そして、いつまでも男共のイヤな視線に香を晒しておくつもりもない。
ここにずっといても埒が明かない、と香を連れてここを離れようと声をかけた。

「お、傘買えたんだな」
「あ、うん。最後の1つだけあったから、それ買っといた」
「ギリギリセーフだな」

撩がニッと笑って言うと、香もホッとしたように微笑む。

「うん」
「じゃぁ・・・」

撩は香から傘をスルッと取る。

「ずっとここにいても雨止みそうにないし、これで家に戻ろうぜ」
「うん・・・でも、1つしかないよ?」

撩がニヤリと笑う。

「だから・・・」

そう言って、傘を開く。

「こうやって・・・」
「あっ・・・」

香をぐいっと引き寄せて、撩と密着させる。

「くっついて入れば濡れないだろ?」
「あ・・・っ、あの、でも・・・」

傘にすごい勢いで雨がぶつかってきて、その音がうるさくて、香が真っ赤になって戸惑う声は撩には聞こえているのか、いないのか。
撩は香の肩に手を置きグッと引き寄せて歩き出す。

「なんだよ?」

撩がそう問えば、香は耳まで赤くなった顔をうつむけ気味にして「ううん、なんでもない」と首を横に振った。

「じゃぁ、とっとと家に帰るか」
「うん」
「で、まずはシャワーだな」
「・・・うん」
「もちろん2人でな」
「う・・・ん・・・?え?!2人って・・・」

ガバッと顔を上げる香に、撩が可笑しそうにくつくつと笑う。

「おれもおまぁも濡れネズミになってるから一緒に入っちまおうぜ」
「え・・・ええっ?!」

焦る香に、撩はクスッと笑う。

「じゃ、決まりな」
「あ、ちょっと、撩?!」

撩はサラリと香とくっついて何気にイチャついたつもりなのだが、さて、あそこにいた男共はどう思ったか?
チラリと後ろを振り返り、さっきまでいたところを見ると、撩の思い通り、男達は、ポカンとしながらも羨望と嫉妬の眼差しを撩に向けていて、ほんのちょっとの優越感にククッと喉を鳴らして声に出さずに微笑う。
こんな状態でも一気に気分が良くなる。
それを撩の動きで判った香は、撩を見上げて小首を傾げた。

「撩?どうしたの?」
「いーや、何でもない」

そして、撩は屈んで香の耳元でそっと囁く。

「早く家に帰りたいって思ってさ」
「ええっ?!」

香がドキッと胸を高鳴らせる。
あの、その・・・と焦っている香を可愛いなぁ、と思いながら見ていた撩だったけれど、ふと立ち止まる。
ん?と思った香も足を止める。
もう、ほとんど人通りもなくなった通りで、一言「帰ってからが楽しみだな」とそう呟くと、香の唇に一瞬掠めるキスをした。

「?!」
「さ、行くぞー」

撩が優しく香を歩くように促すと、真っ赤になって一瞬、頭が真っ白になって口をパクパクさせていた香がハッとして慌てて歩き出し、撩は香に合わせてゆっくりと歩く。
2人を包むのは傘に落ちる大粒の雨の音だけ。
こんな時だけど、互いに濡れて冷たいけど密着して歩く撩はフッと微笑み、香も恥ずかしそうに、でも嬉しそうにはにかんだ。

と、香がハッとして突如、呟いた。

「あ、帰ったらまず洗濯物、入れなくちゃね」
「あー・・・・・・ん、そうだな」

どこまでも天然な香に、撩は苦笑しながら頷いた。





++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

<あとがき>
梅雨の時期、ということで、豪雨のような雨が降った時の2人を描いてみましたv
いかがだったでしょうか?
色々とツッコミどころが満載ですが、スルーして下さいねvv
元々描いていた話は所々違う話だったのですが、ポンとこの話が思い浮かび、急遽、これに変えました(*^^)v
以前の撩ならきっと、こんな状況で香ちゃんと合流しなかったかもしれない、と思うんです。
でも、香ちゃんと肌を重ねるようになり、香ちゃんがますますキレイになっていって、ちょっとは撩が気持ちを素直に出すといいなぁ、と。
この撩は、隣でもっこり美女が艶っぽくなっているにもかかわらず、ちょっと、わおvとなるものの、あまりグラッときてないみたいですねー(*^_^*)
すぐに香ちゃんに置き換えて考えるあたり、やっぱり香ちゃんのこと無防備で天然だと思って放っておけないんでしょうね(笑)
相変わらずの駄文でホントにすみませんm(__)m
最後まで読んで下さり、どうもありがとうございましたvvv

【 2014/07/02 (Wed) 】 NOVEL | TB(-) | CM(0)
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撩&香の一コマ♪
プロフィール

実梨

Author:実梨
シティーハンターが好きで、二次創作を始めました(^^ゞ
カッコいいリョウと可愛い香ちゃんを目指して、日常の色んな2人を描いていけたらいいな、と思ってますv
初心者なので、まだまだ未熟で駄文ばかりではありますが、少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです♪

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