1012345678910111213141516171819202122232425262728293012

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【 --/--/-- (--) 】 スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

パイロットとクリスマス2

※このお話は『Missパイロット』というドラマの設定でRKならどんな話になるのかな・・・?と妄想したことから描き始めましたv
なので、ドラマの設定を少なからずお借りしています(CH仕様で、ドラマと設定を似せている話になってます)
もちろん、パラレルですので、読みたくない方は読まれない方がいいかもしれないです。
あと、ドラマが好きでイメージが崩れるのがイヤだ、という方も読まれない方がいいかも・・・?
これは、完全に私の妄想で、ドラマのイメージもRKの性格も違ってます。
そして、今回は、香ちゃんがちょっと危ない目にあってます。
それでもイイよー、という方のみ、お読みください。
読み終わってからの(読み途中でも)苦情等は一切受け付けませんので、どうぞよろしくお願いします。
ドラマを観た方も観てない方も少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです♪
それでは、どうぞvv






















アメリカについて、まず、一番困ったことは、やはり言葉の壁だ。
それを一番最初にクリアしたのは、香のバディの美里で。
香は、相手が何を云っているのか分からず、撩に教えてもらった「Say again」をひたすら繰り返し、アメリカでの担当教官を困らせていた。

「あーっ、もう!こっちに来てから訓練の度合いが全く違うんだけど!」
「そうよねー。でも、実際に乗せてくれるからいいじゃない」
「ううー、美里はそう言うけど、あたしは教官が何を云ってるのかさっぱり分からないんだから」
「ふふっ。香はまず英語からね」

冗談交じりに言う美里に、香は何も言い返すことができなかった。

そして、飛行訓練の合間に座学もあり。
いよいよ、香の頭がパンクし始める。

「はぁぁ。ホントにもう、ゆっくり温泉にでも浸かって、頭を休めたいわ」
「・・・ぷっ。何それ。でも、冴羽教官ったら可笑しいの。何かっていうと『槇村』『槇村っ!』『ま・き・む・らっ』ついには『まーきーむーらー』になったもんね。あれは笑えたわ」
「何が笑えた、よ。あれは、相当に呆れてるのよ。あたしがあまりにも何かしでかすから」
「言えてる」
「もうっ、美里ったら」

訓練生達が生活する寮で、香と美里がそんなことを言っていると、同じ寮で生活を共にする撩が来て呆れる。

「おい。太田はともかく、槇村。お前、今からそんなこと言っててどうするんだよ。これからもっとキツくなるんだからな。しっかりついていけよ」

急に撩の声がして驚く香と美里だったが、香は何も言えないので、ただ頷く。

「・・・・・・はい」
「なに、そんなに情けない声出してんだよ。しっかりしろ」

ううー、と涙目になって撩を見上げる香に、苦笑した撩は、2人に言った。

「今日は夕飯の後、お前らまとめて分からないとこ見てやるから他のヤツにも言っとけ」
「「えー、ホントですか?やったー!」」

香と美里は顔を見合わせると、パッと笑顔になって同期の部屋へと駆け出していく。
撩は厳しいながらも面倒見が良く、愛のある指導なので、どんなに厳しくても香達も頑張っていけているのだろう。

夕飯後、リビングに集まった訓練生達は、順番に撩に分からないところを訊いていく。
香は一番最後だ。
何せ、訊きたいことはたくさんあるからだ。

他の訓練生達の質問が終わり、香の番になって、撩のそばへ行くと、えへへ、と笑う香に、長くなりそうだな、と内心で苦笑した撩は、他の訓練生達はそれぞれの部屋に行くように促す。
1Fのリビングに撩と香、2人だけになって、ようやく始まった香の勉強。

その前から撩には解っていたことではあったけれど、香のテンパり具合からして、相当行き詰ってることを察していた撩は、他の訓練生が誰もいないことを確認してから、キッチンで気分を落ち着かせるためにハーブティーを淹れて持ってきた。

「ほら、飲めよ」
「・・・教官」

撩がフッと微笑う。

「だいぶ慣れたみたいだな、教官って呼ぶことに」
「そりゃ、これだけ接してれば慣れますよーっだ」

香はベーッと舌を出しそうな勢いで言ったものの、渡されたカップを両手で持って、紅茶を見つめる。

「ありがとう・・・ございます」
「まぁ、な。今は特別」

香が撩を見る。

「特別扱いはしないんじゃなかったの?」

思わず、敬語抜きになってしまったことに言ってから気付いて、あっと思うものの、撩は肩を揺らして笑うだけだ。

「今はいいよ、それでも。おれ達だけだしな」

香はそっと微笑む。

「でも、今もあたし達は教官とP訓の関係だから」

そう言って、カップを口に運ぶ香を見て、変わらないなぁ、とプッと吹き出す撩。

「何・・・?」

香がムッとすると、撩が「まぁまぁ」と香を宥める。

「何が、まぁまぁ、なんだか」
「お前はホントに真面目だなって思っただけだよ」
「真面目って・・・そんなの当たり前でしょう。そうじゃないと、あたしもダラけちゃいそうだし」

撩と向かい合わせで飲む紅茶は、香の身体はもちろんだけど、心までも温めてくれる。

「・・・美味しい」
「だろ?おれが淹れるモンだからな。美味くて当然だ」
「うわー、すごい自信」

撩と顔を見合わせると、お互いにクスッと笑いあう。
こんなことしてる場合じゃないのは十分承知しているけれど、それでも、なんだか以前のように、ちょっとホッと安らげる一時になっていることに気付いて、心が落ち着く。

「・・・なんかちょっと落ち着いた」
「ん。そりゃ、よかった」
「ありがとう・・・」

香がはにかむと、撩もフッと笑って自分の紅茶を飲んでいる。
香は、撩に対して素直に出た礼に、香自身、ちょっとだけ驚いたけど、それだけ自分が追い詰められていたのかな、と思い、撩に感謝した。

それから、また勉強を再開したものの、今度は、しっかり香の頭に入っていき、撩からの質問にも答えられた。

「やればできるじゃん」
「うん。できた」
「その調子でいけよ」
「・・・はい」

撩が立って、香の頭をくしゃっとして「じゃな」と言って、先に部屋を出て行った。

・・・・・・。

香は、そっと、今、頭をくしゃっとした撩の手の感触を確認するように、そっと髪に触れた。
優しい手、だった。

それに、ついさっき、自分に勉強を教えてくれていた時の撩の横顔。
いつも、自分をからかっていた時とは違う、仕事をしている男性(ひと)の顔、だった。
胸が、トクン、と鳴った。

さっき、撩と飲んだハーブティー。
他愛のない話をしていた時、撩の目が優しくて、静かに話を聞いてくれる撩が、嬉しかった。
楽しかった。

訓練の時、自分の飛行が終わって降りてくると、必ずアドバイスなり注意なり、一言をくれる。
自分のことを見ててくれてるんだ、と思うと安心できる。

トクン・・・トクン・・・

・・・何?これ。
あたし、どうしちゃったのかな?

胸がキュゥと痛み、思わず手で胸をキュッと掴んだ。
香は、まさか自分が撩に・・・とは思わない、思えないので戸惑い、テキストを持って、急いで自室に戻った。



それから、ステージごとに飛行試験があり、それで2回トライしてダメなら即失格。
パイロットを辞めて、会社内の別の仕事に就かなくてはならなくなる。

香達は、撩や現地の教官等、周りのサポートもあり、全員がなんとかアメリカでのすべての試験に合格することができた。

その日の夜。
誰もが合格を喜び、全員が無事、合格したことを祝って、寮の近くのレストランで食事をしよう、ということになり、少々用事のあった香は後から行くことを告げ、他のみんなに先に行ってもらった。

そのレストランは香も何度か行っていて知ってるので、用事が終わり、準備をして、店に向かう途中。
香が1人で歩いていたら、突然、

ポン

肩をたたかれて、え?と振り向くと、知らない現地の男が数人。
暗くてよく分からないけれど、3人、4人、いるだろうか。
香の知っている人ではなかった。

「・・・え?あの・・・」

すでに、英語を話せる香も突然のことに、何も言えずに困惑した。
すると、ニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべて、ピュー、と指笛を鳴らし、仲間内で何事かを言い合いながら香に近づいてきた。
肩をたたいた男はすでに香のそばにいて、香の手をとって、引っ張ろうとする。
香がビクッと明らかに身体を強張らせて、何度も手を振り払って逃げようとしたが、男の力が強くてそれは叶わなかった。

「ゃっ・・・ぃやっ・・・」

香が身体を捩って嫌がる間にも、他の男に肩を掴まれ、腰に手を添えられて、ぐいっとビルの間のあまり灯りの当たらない隙間に連れていかれそうになる。

「や・・・だ・・・っ、いやっ!やめてっ!」

香は怖さで次第に眼に涙が浮かべながら、必死に叫んで助けを呼んだけど、すれ違う人達は、関わりにならないようにか、顔を逸らして通り過ぎていくだけだ。

・・・やだやだっ!
あたし、このまま、コイツらに・・・ヤられるのっ?!
やだ・・・やだよ・・・っ
助け・・・て。
助けて―――!!

そして、ついに、薄暗い路地に連れ込まれて、男達があちこち香の身体を弄ろうと触れてこようとする。

いや・・・だ・・・っ!

その時、目に涙を溢れさせて頭に思い浮かべたのは、この間から気になっている男性(ひと)・・・。

りょう・・・。
撩・・・っ!
助けてっ!!

「りょーーーーーうっっっっっ!!!!!」

男達は胸に、腰に、触ってくる感触がする。

「やだやだっ!撩っ、助けてっ!撩っっっ!!!」

形振りかまってなどいられない。
力の限りに声を出して叫べど、助けは来ず・・・。

ドサッ

「!」

香の身体が突然、押し倒された。
痛い、と感じる間もなく、自分を見下ろす男達がニヤニヤと笑いながら、覆いかぶさってくる。

・・・やだっ・・・怖い・・・でも・・・
あたし・・・もう、ダメ・・・なのか、な・・・?

諦めたくないけれど、状況が状況だ。
香はギュッと眼を強く瞑って、男の気持ち悪い荒い息が首筋にかかるのを必死に捩って逃げようとした。



・・・・・・と、その時だ。

ダン
ドン
バキッ

色んな音がして、香に伸し掛かっていた重さがなくなった。

・・・?

荒い息と誰かが誰かを殴る音。
それが聞こえて、香はそーっと眼を開けてみる。
薄暗いビルが見え、その隙間から真っ暗な空が見えるだけだ。
うめき声が聞こえる。

すごく怖いけれど、見るのが怖いけれど、ゆっくりと身体を起こしてみた。
そしたら、そこにいたのは・・・

「りょう・・・」

逆行で顔は見えなくてシルエットだけしか分からないけれど、間違うはずがない。
毎日、香と生活を共にしている男だ。
そして、香が誰より助けを求めた男が、はぁはぁ、と息も荒く、鋭い眼をしてそこに立っていた。

撩の周りには、すでに気を失っている男や、うめき声をあげている男。
すべての男が倒れていた。

香が驚いてゆっくり撩を見上げると、撩と目が合って、一瞬、ビクッと身体を強張らせた。
すると、ザッザッと荒く近づいてきてしゃがむと、サッと香の身体を見る。
あまり衣服の乱れもない香は、ただ、呆然と撩を見ていると、撩が、そっと香に声をかけた。

「大丈夫か?香」

・・・あぁ、撩が来てくれた

撩の声を聞いたことで、安心した香は、一度は引っ込んだ涙が再び溢れてきて、撩のシルエットが滲み始める。

「りょ・・・」

さっきはあれだけ助けを呼んでいたものの、今は、全く声が出ないで、今、撩の名前を呼んでも掠れるだけだった。
涙が一粒頬を伝うと、後から後から溢れてくる。
それを、撩の無骨な指が掬って拭う。

撩が触れたことでドッと安心して、小さく嗚咽が漏れた。
次の瞬間、座ったままの香は撩に強く抱きしめられた。

撩の胸に強く押し付けられて、痛いくらいに強く強く、抱きすくめられる。
そして、撩は何も言わずに香が落ち着くまでずっと、優しく髪を梳いてくれていた。
香は撩の温かさに、手の大きさに、安心して身を委ねていた。

しばらくして落ち着くと、

「落ち着いたか?そろそろここを離れたいんだけど、立てるか?」

香がコクリと頷くと、撩がやっぱり優しく香を立たせてくれて、香の手を引いて、ゆっくりと歩き出した。
大通りに出ると、香は大きく深呼吸をした。
まるで、今までずっと息を止めていたかのように。

「大丈夫か?香」

それに、またコクリと頷くと、ふと後ろを振り返る。
男達はまだ倒れたままだ。

怖くなって慌てて向き直ると、撩がじっと自分を見ていることに気付いた。

「撩・・・?」

香が訊いても撩は何も答えずに、ただ、香をじっと見つめるだけ。
どうしたのかな、と香が思っていると、撩が香の手をとると歩き出す。

「お前、あの店に行くんだよな」

そう言って撩が告げた店の名は、香がこれから行くはずだった店だ。

「・・・うん、そう」

香が頷くと、撩はそのまま歩き出し、着いたのは香が行くはずだった店。
中に入ると、香は撩に押しとどめられる。

「お前は今日はもう帰れ。おれが寮まで一緒に帰るから」
「え・・・りょう?」
「ここでちょっと待ってろ」

それだけ言うと、撩だけ中に入って、他の訓練生達のところに行って、何かを話した後、またすぐ戻ってきた。

「アイツらには具合が悪いからって言ってきた。だから、帰るぞ」

香に何も言う隙を与えずに、店を出てそのまま歩き出す。
2人とも何も言わずにただ歩いて、途中、ちょっとした店で色々買い込んで寮に戻る。

真っ暗な寮に入ってリビングまで行くと、やっと香の手を離した。
手の温もりが消えて、香が俯くと、撩に見据えられてビクッと身体を震わせる。

「・・・っ!」

香が驚くと、撩がその態勢のまま怒鳴った。

「バカ野郎っ!お前、何やってんだよ!」

ビクッ。
また身体を震わせた。

「もし、おれがもう少し行くのが遅かったら、もうちょっとで、お前、サイアクなことになってたかもしれないんだぞ!」
「・・・・・・」

香は俯いて、何も言えずにいた。

「おれが・・・っ、おれが、どれだけ心配したと思ってんだよ!」

はぁぁぁぁぁぁぁ、と大きなため息をつく撩。
香に近づくと、肩に手を置く。

「お前はおれの心臓、止める気か」
「・・・っ、そんなっ」
「冗談じゃねぇんだぞ。解ってるのかよ」

撩の声から真剣なことが分かる。

「りょ・・・う・・・?」
「大丈夫、だったんだよな?!」

唐突に確認された、香の無事。
でも、大丈夫か、と云われても、何を持って無事というのか。

「・・・・・・大丈夫、って・・・?」

香がおずおずと撩を見上げると、撩がハッとしてフイッと顔を背けた。

「どこか触られたかって聞いてんだよ」

ぎゅ・・・と手を握り、胸の前に持っていく。
本当は少しだけど触られた。
男の手の感触がまだ残っているみたいで気持ち悪い。

「腰・・・と、胸・・・をちょっと・・・かな。あ、でも、それだけだから・・・」
「それだけ、とか言うな!」

撩がぐいっと香を引き寄せ、自分と視線を合わせる。

「それだけ?冗談じゃねぇぞ。お前、何、触らせてんだよ」
「え・・・」

触らせてる?
撩の言っている意味が分からない。

「りょ・・・?」
「もうちょっと自分が女だって自覚を持てよ。お前はそれがなさすぎ」
「・・・!そんなこと・・・っ」
「ねぇだろ」

撩の眼はあの時ほどではないけれど、鋭くて、思わず身体が竦んだ。

「お前は、女、なんだ」
「分かってる・・・わよ」
「いや、分かってない」
「どこがよ!」
「どこもかしこもだ!」

香が怒鳴れば撩もまだ先ほどの興奮が収まらないようで、同じように怒鳴る。

「お前は、自分を解ってなさすぎなんだよ」
「解ってないって何よ?!あたしのことよ、あたしが一番・・・っ」
「解ってねぇって言ってんだろ?」

香は驚いて、答えに窮した。

「・・・じゃぁ、撩は、撩には解るの?あたしのこと」
「・・・少なくとも、お前よりは解ってる」

撩は香の眼を真っ直ぐに見つめて言った。
香は眼を見開いた。

「そんな外見のことなんて、誰が見たって解るんだよ。そして、それを解ってないのはお前だけだ」
「そんなこと・・・」
「ある。少なくとも、おれの眼から云わせてもらえば」

撩が香を射抜くように見やる。
・・・と、そこで、ふぅ、とため息をつく。

「なんで、おれがそこまでしなきゃなんねーんだよ。それぐらい、自分で考えろ」
「なっ・・・そこまで言っておいて・・・気になるじゃないのっ」

香がプッと唇を尖らせると、撩は素っ気なく言う。

「そんなの知るか」

香が不安そうに瞳を揺らして撩を見る。

「とにかく、お前は自分が女なんだって自覚を持て。まずはそれからだ」
「だから・・・っ」
「お前にその自覚がないから、さっきみたいに男に襲われるんだろ」
「・・・」

香としては、もちろん女としての自覚は持っているつもりだ。
だけれど、撩にそう云われると何も言い返せなかった。
でも、この前、美里は1人で夜に出かけていたけれど、何もなく帰ってきた。
なんで、自分だけ―――?

香は、まだ頭が混乱している中で考えた。
でも、分からないことだらけで、結局、答えは出ないままだった。

香が納得云ってないのが顔に出ていたのだろう。
撩が、はぁ、と息をはくと、香の眼を見つめる。

「・・・おれもあの店に行くことが分かってたんなら、おれと一緒に行けばよかったんじゃないのか?」
「でも・・・っ」
「でも?」
「あたしと撩は一緒に行かない方がいい、と思って・・・」
「なんでだよ」

明らかにムッとする撩。

「だって・・・あたしと撩がもともと知り合いだって知られるのはマズいんじゃない?」
「はぁ?何がマズいんだよ。教官とP訓が一緒に歩いてたら何かマズいことでもあるのか?」

撩に言われて香はハッとした。
自分の中で、撩が気になる存在となっていた香には、そんなことを考える余裕もなかった。

「あ・・・」

香は俯いて、両手をギュッと握りしめる。

「ごめん・・・なさい。そう、だよね。そこまで気が回らなかった」

顔を上げて笑顔を見せる香に、撩は「バーカ」とぶっきら棒に呟くと、香を優しく抱きしめる。
香が無理して笑おうとしているのが分かったからだ。

「悪かったな。もっと早く助けに行けなくて、怖かったよな」

壊れ物を扱うように、そっと香の髪を梳く撩の優しい声音に、香の中で様々な想いが溢れ、目にあっという間に涙で視界が滲み、1つ、また1つとこぼれ落ちた。
撩が抱きしめてくれる優しさに、強さに、香は怖さを払拭するかのように、子供のように声を上げて泣いた。
その間、撩は何も言わずに、ただ香の背中を擦り、頭を撫でてくれていた。


―――本当に心臓が止まるかと思った。

香が先に行ってから遅れること数分。
撩が歩いていたら、どこかから聞こえてくる叫び声。
助けを呼ぶ声は、日本語だ。

嫌な予感がしてから、それが香のものだと解ったのはほんの数秒。
何かを考えるより先に身体が動いた。
香の声が聞こえる法へ、五感を研ぎ澄ましながら全力で走った。
心臓がイヤな音を立てて、激しく鼓動する。
途中、すれ違う人とどれだけぶつかりそうになったか、ぶつかったか。
それに謝る暇もなく、ただ走った。

ようやく、そこへ辿り着き、路地を見たら、香が知らない男達に組み敷かれていて・・・身体中の血が逆流した。
一瞬でカッと怒りがMAXに達した。

そこからの記憶は正直、あまりない。
ただ、怒りのまま、男達を殴って殴って、気が付いたら男達はみな倒れていて、息も荒く立ち尽くしていた。
ふと、香と眼が合ったら、不安な顔をして自分を見上げていて、急ぎたいのを必死に抑えて、自分が落ち着くためにゆっくり歩いたつもりで香のもとへ向かって、ハッとして声をかけた。
それから、香の眼から涙がこぼれて、拭っても溢れるばかりで、気付いたら強く抱きしめていた。

・・・香の顔があまりにも頼りなさげで、儚くて。

香の衣服に乱れはあまりなく、とりあえずホッとしたものの、怖かったのだろう、身体が小刻みに震えていた。
それに気づいてどうにもやり切れない気持ちになり、ギュッと抱きしめて、安心させてやりたかった。
でも、撩自身も思いのほか安心したみたいで、戸惑い、苦笑した。

香がちゃんと今、ここにいる、自分の腕の中にいる。
その温もりに、何より気が抜けたようにホッとした。

その時に、強く思ったことがある。

―――守りたい。
コイツのことを守りたい。
他の誰でもない、おれが守るんだ・・・と。



香が落ち着いてきたのか、撩から離れた。

「ありがと、撩。もう、大丈夫だから」
「ホントかよ?」
「うん。撩がずっと傍にいてくれたから、ホントに大丈夫」

ドキッ

撩の胸が疼いた。

・・・なんで、コイツは、こんな時にこんなこと言うんだよ。
そんなこと云われたら、抱きしめたくなるだろうが!
コイツはホントに、超天然だ。

撩が教官になって、香と毎日接するようになって、今まで知らなかった香の色んな表情を知っていった。

一生懸命勉強する姿や、他の訓練生達と楽しそうに笑いながら話していたり。
普段はムードメーカーで盛り上げ役なのに、休憩している時に、ふと窓の外の飛行機を見る眼が不安そうに揺れていたり。
飛行訓練で、飛行を終えて降りてきてから、必ず自分を見てくるから、他のヤツらにはなくても、香には必ず何か伝えた。
アドバイスだったり、注意だったり、それは時によって色々だったけれど。
自分の言ったことを真剣に聞いて、頷いたり、笑ったり、表情がクルクル変わるのが見たかったり。

でも、いつの頃からだったか。
香が他の男と仲良さそうに話しているのを見ただけで何かがモヤモヤしてくるのを感じた。
それは日を増すごとに増えていって、撩は、それが何なのか分かってはいたが、まさかな、と思いつつ、様子を見ていて・・・でも、それを決定的にした出来事がついさっき起きた。

香に触っていた。
見ず知らずの男が。
全身の毛が逆立つぐらい、腹が立った。

あの時は無我夢中だったけれど、ここに戻ってきて、改めて香を見ると、コイツはこんなに女っぽかったか?と思う。
普段、女を見せない香は、今までは、会えばずっと香をからかって笑っていただけで、自分の恋愛の範囲外だったはずだ。
それが、今は・・・香が女であることを、こんなにもハッキリ実感した。

背が高く、スレンダーな身体は、モデルのようだし、脚だって長い。
そんなんだから、こっちでもかなり目立っている。
顔だって悪くないし、というか、むしろ美人だ。
訓練生の中にも狙っているヤツもいるみたいだし。

香を抱きしめた時に、あまりにも細くて、いつも自分を殴るあの力はどこから来るんだってぐらい、身体が細くて頼りない。
離したくない、と思った。

コイツハ・・・オレノモノダ

その時、今まで曖昧にしていた気持ちがはっきり見えた。
誰に向かっているか、確信した。


・・・おれは、香が、好きだ。


そこで、香が自分を呼ぶ声でふと我に返る。

「撩?」
「ん?なんだ?」
「あたし・・・先にお風呂入ってきていいかな?なんか、なんかちょっと、触られたところがちょっと気持ち悪くて・・・。お腹・・・すいてるけど、ご飯はあたしが上がったら何か作るから」
「ん、そうだな。ってか、今日は特別におれが作っといてやるから先に入ってこいよ」
「え?!撩が作ってくれるの?」
「おぅ。今日だけだぞ?特別だからな」
「うんっ。早く入ってくるね」

香がホントに嬉しそうに笑って出ていくと、撩は、自覚した想いに、ふぅ、と息をはくことで切り替え、今はアイツの教官なんだ、と自分に思い込ませて、キッチンへ向かった。

それから、どれぐらい経っただろうか。
香が上がってきて、滴が髪から落ちようとしているのが見えて、バスタオルを指す。

「もっとちゃんと拭けよ・・・ってお前はガキか」
「違うわよ!ちゃんと拭くけど・・・ご飯って・・・」

香が撩を窺うように見上げると。

「できてるぞ」

テーブルに並んだ料理に香が歓声を上げる。

「わー、すごい!撩、上手」
「・・・まぁな。さてと、食うぞ」
「うん。いただきます」

香が美味しそうに食べてるのを横目にチラリと見て、撩の心の中では、これからはおれが今まで以上にサポートしてやらないとな、と新たに誓っていた。

「撩。すっごく美味しいよ」
「当然だ。・・・で、アイツとどっちが美味い?」
「アイツ?」
「槇村だよ。アイツもするんだよな?料理」
「うん、するよ。アニキはすっごく料理が上手なんだから」
「だから、どっちが美味いかっての」
「うーん・・・。両方だよ。アニキも撩も上手よ」
「・・・」

撩にしてみればどうも納得がいかないが、まぁ仕方がない。
香は筋金入りのブラコンなのだから。
香がクスッと笑うと、撩も安心したようにフッと笑って、また食べ始める。
それは、以前に戻ったかのような、穏やかで楽しい時間だった。

それから、ほどなくして、他の訓練生が戻ってきて、心配された香だったけれど、なんとか安心させて、その日は終わりを告げた。

そして、ほどなくアメリカ研修の日程をすべて終えた後、胸を張って、日本に戻ってきた。





++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

続きます。
話の成り行き上(というか、撩に気持ちを確信させるため)とはいえ、香ちゃんを危ない目に遭わせてしまって、本当にどうもすみません。カオリストさんには本当になんとお詫びをすればいいのか・・・っ(>_<)
どうか怒らないで下さい~(>_<)
どうもすみませんでしたっm(__)m

【 2013/12/24 (Tue) 】 NOVEL | TB(-) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
撩&香の一コマ♪
プロフィール

実梨

Author:実梨
シティーハンターが好きで、二次創作を始めました(^^ゞ
カッコいいリョウと可愛い香ちゃんを目指して、日常の色んな2人を描いていけたらいいな、と思ってますv
初心者なので、まだまだ未熟で駄文ばかりではありますが、少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです♪

更新履歴
・ 8/ 24 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 7/ 18 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 6/ 16 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 4/ 22 MEMOに拍手御礼(お待たせしてすみませんでした)
・ 4/ 17 遅ればせながら香ちゃん、お誕生日おめでとうvv
・12/ 7 サイト6周年vホントにどうもありがとうございますvvv
・11/ 13 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・11/ 2 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・10/ 19 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 8/ 10 EVENTに5周年記念SS(後編)をUP&MEMOに拍手御礼
・ 8/ 4 EVENTに5周年記念SS(前編)をUP(今更ですみませんっ)
・ 7/ 13 MEMOに拍手御礼
・ 7/ 2 NOVELをUP
・ 6/ 1 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 5/ 23 NOVELをUP
・ 5/ 5 MEMOに拍手御礼
・ 4/ 10 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 3/ 31 香ちゃんお誕生日おめでとうvv
・ 3/ 26 撩ちゃんお誕生日おめでとうvv
・ 3/ 23 NOVELをUP
・ 3/ 14 MEMOに拍手御礼
・ 3/ 2 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 2/ 19 NOVELをUP
・ 2/ 10 SSSをUP
・ 2/ 1 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 1/ 22 MEMOに拍手御礼
・ 1/ 10 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 1/ 5 どうぞ2014年もよろしくお願いしますvNOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・12/ 31 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・12/ 29 MEMOに拍手御礼
・12/ 25 NOVELをUP
・12/ 24 NOVELを2話分UP
・12/ 15 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・12/ 7 サイト5周年~♪ホントにどうもありがとうございますvv
・11/ 28 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・11/ 18 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・10/ 20 MEMOに拍手御礼
・10/ 5 MEMOに拍手御礼
・10/ 4 NOVELをUP
・ 9/ 23 NOVELをUP
・ 9/ 16 LINKに素敵サイト様1件追加!&MEMOに拍手御礼
・ 9/ 1 NOVEL2話目をUP&MEMOに拍手御礼
  ・ 8/ 15 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 8/ 5 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 7/ 30 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 7/ 7 七夕SSをUP
・ 6/ 30 NOVEL1話目をUP&拍手御礼v
・ 6/ 17 ついに!新しいPCになりましたーっvvv&拍手御礼v
・ 2/ 8 EVENTに4周年記念SSをUP&MEMOに拍手御礼v
・ 1/ 20 LINKに素敵サイト様1件追加!
・ 1/ 8 NOVELにお正月SSをUP&MEMOに拍手御礼v
・ 1/ 2 2013年v新年あけましておめでとうございますvv今年もどうぞよろしくお願いいたします☆
FC2カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。