※このお話は『Missパイロット』というドラマの設定でRKならどんな話になるのかな・・・?と妄想したことから描き始めましたv
なので、ドラマの設定を少なからずお借りしています(CH仕様で、ドラマと設定を似せている話になってます)
もちろん、パラレルですので、読みたくない方は読まれない方がいいかもしれないです。
あと、ドラマが好きでイメージが崩れるのがイヤだ、という方も読まれない方がいいかも・・・?
これは、完全に私の妄想で、ドラマのイメージもRKの性格も違ってます。
それでもイイよー、という方のみ、お読みください。
なお、話の途中で香ちゃんが危ない目に遭ってしまいますので、ご注意下さい。
読み終わってからの(読み途中でも)苦情等は一切受け付けませんので、どうぞよろしくお願いします。
ドラマを観た方も観てない方も少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです♪
それでは、どうぞvv
「お前、ホントに受けるわけ?」
「受けるわよ?」
「パイロットとして?」
「そうよ」
「マジで?」
からかう、というより呆れたような、そんな顔で香を見る撩。
「マジよ、大マジ。決まってるでしょ。あたしがアニキに憧れてパイロットになりたいの、知ってるくせに」
「だっておまぁ・・・・・・なぁ、槇村?」
撩が、隣でモグモグと料理を美味しそうに食べている秀幸に同意を求めると、なんとも妹を溺愛している男は、あはは、と笑って撩の背中をポンポンとたたく。
「まぁ、いいじゃないか、撩。香がやりたいようにやらせてやれば。やりたいって言ってるんだから」
「そうよ、撩。香さんなら大丈夫よ。だって秀幸の妹ですもの」
「ありがとう、アニキ、冴子さん」
香は、自分を快く応援してくれる、兄の秀幸と、秀幸と結婚して今は二児の母となっている冴子に笑顔で礼を言った。
撩にベーッと舌を出すことも忘れなかったけれど。
「で?おまぁはどこの会社を受けるんだ?」
「もちろん、アニキがいる会社よ」
「「んー、そうか・・・んんっ?!」」
秀幸と撩は納得しかけて思わず顔を見合わせて、冴子はクスッと笑った。
「・・・ウチを受けるのか?香」
「え?うん、そのつもりだけど、ダメ・・・だった?」
「・・・マジか」
驚くも微笑む秀幸と、唖然とする撩。
「もうっ、撩。アンタはさっきからそればっかじゃない。他に何か言うことはないの?」
香がプッと唇を尖らせる。
「ない。それにどうしてウチなんだよ。別に他でもいいじゃねーか」
撩と秀幸はパイロットとして空を飛んでおり、まさに香が受けようとしている会社で働いているのだ。
「いいじゃない。そしたら、アニキが働いてるとこ見られるし」
「けっ、ブラコンのお前が考えそうなことだな」
「いいじゃないか、撩。おれはいいと思うぞ。香」
「え?ホント?ありがとう、アニキ」
「私もいいと思うわよ?知り合いがいた方が何かと助かることもあると思うし」
「あ、そうか。冴子さんも同じ会社でグランドスタッフとして働いてたんだもんね」
「そうよ。今は子育てで忙しいけどね」
冴子は香と顔を見合わせるとクスクスと笑いあう。
撩はケッと云いながら、ヤケになったみたいに冴子が作った料理を食べだす。
そして、その時、メガネの奥で目がキランと光った秀幸は、うんうん、と頷きながら意味深な笑みを浮かべていたのを知っていたのは妻の冴子だけだった。
****
それから数か月。
無事に意中の会社に入社を決めた香は、入社式を終えた後、パイロットになるための訓練を受ける際の教官と顔合わせをしたのだけど・・・。
「な、なんで撩が教官なのよ?!」
「おれに訊くなよ。おれもさっき云われたばかりで断る間もなかったんだから」
まさに今、会議室で顔合わせをした直後で、他の訓練生達が部屋を出て行った後なのだ。
部屋に残ったのは2人。
目も大きいけれど口も開けて、唖然とする香と、ふて腐れているようにムッと機嫌が悪い撩。
「え?でも、そういうのって前もって知らされないの?」
「ほかのヤツは知らないけど、おれはホントについさっき知らされて。ダマされたんだよ」
「ダマされたって・・・誰に?」
「おれを推したの誰だと思う?」
撩がぶっきらぼうに香に問うと、香はもちろん知らないので首を横に振る。
「分からない」
「アイツだよ。槇村」
「え・・・アニキ?」
すると、香は目を一層丸くしたかと思ったら、ププーッと勢いよく吹き出した。
「やだ、撩ったら。おっかしいのーっ!あっはははは。やーい、アニキにダマされてんの~」
「くっそー、やけに上司が爽やかそうに近寄ってくるから何事かと思えば・・・すっかりアイツにしてヤラれたぜ」
撩が悔しそうに舌打ちをしてるので、香は撩がちょっと気の毒になって、苦笑して一応慰めてみる。
「撩にとっては災難だったわね。でも、あたしは得したかも。だって、撩が教官だったら色々訊きやすそうだし」
香がにっこり笑顔でそう言うと、撩はジト目で香を見やる。
「香。お前、訓練ナメてんな。おれも教官になったからにはビシビシ厳しくするからな。お前と知り合いだからって贔屓はしねぇぞ」
「うん、解ってる」
「それと、おれは教官、お前はパイロット訓練生。よって、おれのことはこれから『教官』って呼べよ。間違っても、撩、とか呼ぶんじゃねーぞ。おれも、お前のことは『槇村』って呼ぶからな」
「・・・あ、そうか。撩って教官なんだ・・・よね」
そう言って、香はピシッと制服を着ている撩を上から下までじーっと見ると、ドキドキしてきて、内心で慌てる香。
・・・これは撩よ?香、落ち着いて。
これから、撩はあたし達の教官になるんだから。
ドキドキするのは制服マジックなんだから。
べ、別に撩がカッコいい、とかそんなんじゃないから。
それに、いちいちドキドキしてたらやってけないわよ。
香は誰に言うでもなく、自分に言い聞かせると、再び、撩の顔を見て目を合わせる。
「うん・・・あ、はい。分かりました、りょ・・・教官」
「・・・大丈夫か?お前。敬語もちゃんと使えよ」
「・・・っ、はい」
ハッとして慌てて言い直す香を見て、撩は苦笑したが、自分が教官だし、ま、なんとかなるだろ、と香に向き直る。
「香・・・じゃなかった、槇村。明日から早速始まるから、しっかり予習しとけよ」
「・・・はい」
先に部屋を出た香は、自分だって間違ってんじゃん、と少し安心してクスッと笑みを浮かべると、自習室にいるであろう同期の訓練生達のところへ急いだ。
訓練・指導が始まった・・・のはいいのだけど。
座学で撩が訓練生達を次々と指していくと、答えられる者と答えられずにしどろもどろになる者とに別れ出した。
香は・・・後者で、撩が指すと、え・・・と小声で呟き、テキストを見直す、ということが多く・・・。
撩は香のバディである女性訓練生に香の勉強を見てやるように頼んだほどだった。
香のバディである、太田美里は入社試験時から優秀で今までの座学でも優秀だ。
美里は、了承したものの、何か言いたげであるようだった。
「はぁぁぁ」
廊下に出て大きくため息をつくと、撩はテキストでコンコンと肩をたたき、これからのことを思案していた。
そして、ついに・・・
「槇村」
「はい」
「お前、今日の座学が終わったら補習な」
「あ・・・」
と言ったきり一旦黙り、それから窺うように撩を上目で見上げてきた。
「教官」
「あん?」
「すみません」
と頭を深く下げた香に、珍しく殊勝だな、と思いながら、フッと口角を上げて微笑み、頭に手をポンと置いた。
「気にすんな。じゃ、終わったら補習だから、覚えとけよ」
「はい」
美里に「頑張りなさいよ。アンタ、暢気なんだから」とか何とか云われて、あははー、と苦笑している香を見て、撩も苦笑した。
最後の座学が終わって、その部屋でそのまま引き続き、撩と香のマンツーマンでの補習が始まった。
撩がゆっくり香に確認しながら教えると、香もちゃんと理解して、撩の問題にも答えられるようになっていった。
テキストとノートを見ながら、一生懸命考える香を撩はずっと見ていた。
撩が見ている限り、訓練生達の中で、香はどうやらムードメーカーのようだ。
香がパイロットになるずっと前から、香のことを知っている撩としては、まぁ、そりゃそうなるよな、と納得ではあるのだけど。
香は、人を惹きつけるものを持っていて、香が笑うと、周りも和む。
香がいるだけで、場が明るくなる。
香の明るさが、周りをも明るくさせる・・・励まされる。
訓練は本当に厳しくて、最初は調子の良い者でも、徐々に余裕がなくなってくる。
そうした時に、香がいることで、他の訓練生達は少なからず助かっている場面があるだろう、と思う。
そんな意識しないでも周りを和ませられる香を、素直にすごいな、と思う。
そして、今、一生懸命、勉強している香を見て、誰よりも頑張っていることも解ってきて、また違った一面を見た気がして、撩は香にバレないようにクッと笑う。
・・・コイツは今、懸命に勉強して訓練も頑張ってるし、おれもしっかり教えなきゃな。
そう思いつつ、補習を続けた。
座学以外にも他の仕事(整備やグランドスタッフなど)の研修も始まると、それぞれの仕事の裏側も見えたり、で香達も色々と学べたし、実際に飛んでいる飛行機に乗せてもらうこともできて、貴重な経験ができた。
そして、ついに、約2年かけてのアメリカ研修が始まった―――。
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続きます。
次回は、ちょっと香ちゃんが危ない目に遭ってしまいます。
カオリストさんには、本当に申し訳ないです。
わーん、怒らないで~(>_<)
【 2013/12/24 (Tue) 】
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