1012345678910111213141516171819202122232425262728293012

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【 --/--/-- (--) 】 スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

本当の私2

※これは『偶然の再会』で香ちゃんのとあるセリフ(「一度会ったあたしを忘れられなくて~」)から生まれた話なので、『偶然の~』を読んで頂いからの方が解りやすいと思います。
なお、この話は捏造であり、原作で終わった時点(港で別れたあと)から始まり、香ちゃんは「お嬢様になりすました」ではなく「本当の元華族のお嬢様」という設定となっておりますので、不快に感じる方はどうぞ、ブラウザバックにてお戻り下さいませ。

というか・・・パラレル?!
2人の性格が全然違う?!
そして、ツッコミどころ満載~(^^ゞ
で、やっぱりというか何というか駄文です。。。

ですので、それでもいいよ~、という方はどうぞ、お読み下さいvvv
なお、クレーム等は受け付けませんので、宜しくお願いいたします。



























階段を上がって着いた彼の家は、スッキリしていた。
必要なものしか置いてない感じだ。

私は、通されたソファに座ってキョロキョロしながら、彼が来るのを待っている。
ほどなく、撩がカップを乗せたトレイを持ってきてくれて、ずっとカップを持ったまま、少しずつコーヒーを飲んでいると、撩がクスッと笑う。

「そんなに緊張しなくてもいいよ。とって食いやしないから」
「なっ、そんなこと」

いつの間にか緊張していたのだろうか。
撩のセリフにもピクンと反応して顔を真っ赤にしている自分がいた。
でも。

「でも、男の人の部屋に2人っきりっていうのが、その・・・初めてなので」
「そうなんだ?」

撩の目が甘く煌めいたような気がしたのは私の気のせいかしら?
私はなんだか恥ずかしくなって顔が朱に染まる。

目の前にあるローテーブルには、先ほどコンビニで買ってきたおつまみやらちょっとしたお菓子などが無造作に並べられている。
それに手を伸ばした撩がポイッと口に入れると、優しい瞳で私を見る。

「・・・で、さっきは訊きそびれちゃったんだけど、あの男達は君の知り合いなの?」

私は申し訳なさで目を逸らし、小さく頷く

「・・・そうです。あの人達は、父の仕事の関係の人で、あなたと話していた人は速水さんといって、父の秘書をしています」
「ふーん、秘書、ねぇ・・・」
「あの、本当にすみません・・・」
「だから、ストップ。さっき言っただろ?おれは、君に頼ってもらえて嬉しいくらいだって」

撩はウインクして口に人差し指を当てて、しーっと合図してウインクする。

「おれは、仕事上、こういうのに慣れてるし、まして、守るのが君みたいな美人なら大歓迎だよ」
「え・・・?」

仕事上?
撩はどんな仕事をしているのだろう。
そう疑問に思ったものの、撩からの質問に一瞬、ドキッとした。

「そして、これもさっき訊きそびれちゃったんだけど、君の本当の名前はなんて云うのかな?」

撩の瞳は先ほどと変わらず優しいままだ。
でも、確か、さっき、キャッツアイに来た速水さんが私の名前を呼んでたから知ってるんじゃ・・・と思ってギクリと身体を強張らせると、撩は私の思っていることを察したのか、優しい瞳のままクスッと微笑んだ。

「おれは君の口から聞きたいんだ。あの男からじゃなくてね。それに、おれって基本、男は嫌いだからさ、ヤローが話したことは耳から耳へ抜けてっちまうんだ」

それを聞いて、ちょっとクスッと笑ってしまう。

「そうなんですか?」

私もそれを事実だとは思ってないけど、撩の笑顔があの時のままだったから、私もちょっとそれにノッてみると、撩はうんうん、と頷いている。

「そうなんだ、実は・・・・・・で?君の名前は?」

覗き込むように私を見る撩は、やっぱりクスッと笑っていて。
私は少し身体が解れていたのがまた固くなるのを感じた。

「私は・・・槇村、香、と申します」

わざと名字と名前と、間をあけて切って言った。
撩に、元華族の『槇村』の名前に反応して私を呼ぶんじゃなくて、香、という『私』の名前で憶えてほしかったから。
撩を真剣な眼差しで見つめると、撩は、にっこりと笑った。

「香ちゃん、って云うんだ。いい名前だね」
「ありがとうございます」

撩にやっと名前を伝えられたことで、ふと、喉がカラカラなことに気付いた。
名前を言うだけで、これだけ緊張してたんだ、と思って、少し笑みがこぼれる。
少し落ち着いてきて、テーブルの上に置いてあるカップに初めて口をつけた。
すると、コーヒーの香ばしい香りとは裏腹に、ほんのり甘めの味に、今度こそ身体が少しずつ解れていった。

「ちょっとは落ち着いたかな?」

撩から訊かれて、私もカップを持ったままコクリと頷いた。

「はい、どうも、ありがとうございます・・・実は、私・・・」

そして、カップを置いて話し始めた。

家の躾が厳しくて自由な時間がなく、ほとんど外出したことがなくて、誰にも束縛されずに1人で外の世界に出てみたくて家を抜け出した時に、撩と出会ったこと。
両親を拝み倒して、やっとアメリカに留学することを許してもらったこと。
留学中は1人で生活して、大変だったけど充実していて楽しかったこと。
戻ってきたら変われるかな、と思ったけど、家の体質は変わってなくて、私もそんな家にまた束縛されて窮屈で逆らうことができなくて、でも、それでも免許を取って車に乗れるようになったこと。
何者にも束縛されずに自由になりたいこと。

そして―――。
撩に逢った時からずっと忘れられなかった撩に会いに、両親の目を盗んで会いに来たこと。

それをかいつまんで話した。

「・・・そうだったんだ。でも、よく抜けてこれたね。親だけじゃなくてさっきのヤツらみたいな側近だっているわけだろ?」

撩が感心したように言うと、私は真剣な顔で撩を見た。

「だから、親が留守にする日を選んだんです。速水さん達も一緒なことは分かってますから」
「へぇ~」

だけど、そこで私は視線を落として俯いた。
撩にまだ言ってないことがある。

もう1つ、家を出てきたこと。
束縛される、ということでは同じだけど、小さい頃から云われてきた躾、とかいうのではなく、大きくなってから勝手に決められたこと。
私の気持ちが撩で占められていることを思うと、今、家を出てきたことは、もしかしたらこのことの方が大きいかもしれない。

できれば撩に云いたくない。
知られたくない。
でも、言わなければならない。
私は、視線をカップに向けながら逡巡した。

それを撩が悟ったのか「ん?」と訊いてくる。
私は、眉を寄せてやっと小さく呟いた。

「実は、私・・・」

そこまで言ったら、諦めがついたように長いため息をついた。

「父親が勝手に決めた許婚が・・・いるんです」
「・・・え。いいな・・・ずけ?」
「はい」

力なく頷くと、撩は驚いたように目を見開いている。

「そりゃまた、許婚とは・・・時代錯誤っつーか何ていうか」
「正式には違います。父親とその方の口約束みたいなもので。でも、相手の方も私のことをその・・・気に入って下さっているみたいで、2人とも乗り気で、先方のご両親への挨拶のことも話し始めていて・・・」
「それで、君は、それに乗り気じゃないんだ」
「当たり前です!」

私は、ガバッと起き上って睨むように撩を見る。

「私はっ!・・・その方のことは正直、あまり好きではありません。それに、私には、想う男性が他にいます。たとえ、その人への想いが叶わないとしても、私は許婚のその人と結婚するなんてイヤなんです」

私はまた俯いて、唇をギュッと噛みしめる。

「だから・・・今回、家を出てきたのは、むしろそっちの方が大きいかもしれません。父への反抗、というか、抗ってみたかったんです。自分の一生を父に決められたくはない。私のこれからがかかっているんです」

唇を噛んだまま眉を寄せて、ゆっくりと顔をあげた。
撩と眼が合うと、撩は真剣な顔をして私を見ていた。

「よく、家を出てきたね」

そして、撩が柔らかく微笑んだ。
それを見た時、私の眼に熱い雫がたまってきた。
その一言で、救われた気がした。


誰もが「彼はいい人だから良かったね」「香さん、きっと幸せになれるわ」「おめでとう」と云う。
みんな、嬉しそうに祝ってくれる。
私は申し訳ないような複雑な気持ちになりながらも、笑顔で対応した。

でも・・・。
ほとんどの人が、そこに私の気持ちが込められていないことに気付かなかった。
もちろん、それに気づいて励ましてくれる人もいたけれど。
・・・相手の人がいい人だから、私は幸せになれる?
幸せになれるって何で分かるの?
相手の人がいい人だからといって、私がその人を好きになるとは限らない。
その人は、確かに仕事はできるし、人当たりが良くて、誰からも好かれていた。
もちろん、私にも好意的に接してくれる。

でも、私は知っている。
彼は、私を好きなのではなくて、私の後ろにある『槇村家』が欲しいのだ、と。
それを証拠に、1人娘の私に、婿養子になってもいい、とまで言っている。
槇村の姓を名乗れば、この家の少しばかりの財産はいずれ、確実に彼のものになるから。
それを狙っていることはその人となりを見ていれば分かる。
狡賢い人だから。

そんな彼のことを、私はどうしても好きになれなかった。
たとえ、撩に出会わなかったとしても。
私が撩を好きになることがなくても。


それが、撩が放ったたった一言で、私の凝り固まっていた心が解されていくのが分かって、不覚にも熱いものが込み上げてきてしまった。
撩は困ったように微笑って私の隣にきて、とうとう目から零れた涙を掬い取ってくれた。
私は、ただ静かに涙を流していると、撩が私の後頭部に手をやると、ぐい、と自分の胸に引き寄せる。
そして、ただ頭を撫でてくれた。
その手が優しくて、私は撩の胸で泣いた。

「もう大丈夫。おれが君を守るから」

その言葉に、私の動きが一瞬止まる。

・・・それは、どういうこと?

「こんな美人を泣かせるなんて許せないからね。おれでよかったら香ちゃんを守るよ。それに、泣くならおれの胸で泣いてほしいな」
「・・・え」
「君に泣き顔は似合わないよ」

私は、撩の優しさに触れて、また涙が溢れてきた。
少しして洟をすすって涙を拭くと、顔をあげる。

「・・・ありがとう、ございます」

すると、撩がプッと吹き出す。
??と思っていると、撩が私の鼻を指さす。

「鼻も眼も真っ赤になってすごい顔になってる」
「え?・・・えぇっ?!」

私は恥ずかしくて手で顔を覆う。

「見ないで下さい!」

それでも、撩は笑ったまま。
私はどうしよう、と慌ててアタフタしていると、撩がまた優しく私を抱き寄せてくれた。

「・・・可愛いなぁ」

ポツリと呟いた撩に「え?」と思ったけど、聞き間違いかな、と思って、そのままにした。
私を離した撩は、笑ったままテーブルにあるおつまみを勧める。

「まぁ、これでも食べてなよ。小腹もすいただろ?」
「・・・・・・はい」

なんだか撩にすべてを明かしたら、確かに少しお腹がすいたかもしれない。
私は、素直に手を伸ばした。
パクリと食べると、美味しくて笑みがこぼれた。

「・・・美味しい」
「そうだろ?それ食べて、元気つけなきゃ」
「・・・はい」

じゃぁ、と撩が立ち上がる。

「おれ、風呂沸かしてくるから、ちょっと待ってて」
「はい、ありがとうございます」
「気にしなくていいよ。それに、今日は色々ありすぎて疲れただろうから、風呂でゆっくり疲れを取るといいよ」
「はい」

撩が部屋を出て行ってからも、私はおつまみを食べていた。
食べながら、これからのことを考えていた。

撩が、ここはアパートで部屋はたくさんあると言っていた。
家を出てきたのだから、しばらく帰るつもりはない。
だとすれば、撩に頭を下げてお願いして、しばらくはこのアパートに住まわせてもらうしかない。
家賃は・・・とりあえずは手持ちの分を渡して、あとはアルバイトでもして・・・払おう。

そこまで考えて、ふと思う。

私ってすごく我儘だなぁ。

そう思い、申し訳なさでいっぱいになった。
そして、撩が戻ってくると、私は意を決して撩を見上げた。

「りょ・・・冴羽さん」

私は慌てて呼びなおす。

あぶない、あぶない。
危うく、初めて会った時のように『撩』と呼びそうになってしまった。
それは、あくまで私の頭の中で思う時だけの呼び方なのに。

すると、撩がクスッと笑って訂正した。

「撩、でいいよ。『さん』づけもなし。あの時会った時に言っただろ?」
「え・・・でもそれは・・・」

一夜限りの恋人、だったからでしょう?

私は戸惑って、ただ撩を見つめていた。
撩は優しく眼を細める。

「まぁ、あの時と状況は違うけど、おれは香ちゃんのことを守ることに決めたし、それには、普段から仲良くして、お互いのことを知らないといけないとは思わないかい?」
「・・・・・・」

私は一気に顔が真っ赤になってしまった。

「あ、それは・・・そうかもしれないですけど・・・」
「だったら、ね?」

撩に覗き込まれるように言われて、私は真っ赤な顔を見られたくて、俯いて逡巡した後、小さくコクンと頷いた。
でも、さすがに呼び捨てでは呼べなくて、結局・・・。

「りょ・・・撩・・・さん」

上目で撩を窺うようにおそるおそる言うと、撩はプッと吹き出した。

「ま、いっか、それでも」

私はますます赤くなる頬に手をやった。
頬が熱を持って、熱い。
手うちわでパタパタしていて、ハッと気づく。

私、撩にお願いするんだったのをすっかり忘れてた。

また、気を取り直して、強い目で撩を見る。

「撩、さん」
「ん?なに?」
「あのっ、私、仕事探すので、しばらくここに住まわせて下さいませんか?しばらくの間、家には帰れないし。・・・あの、さっき、ここはアパートで部屋はたくさんあるって言ってましたよね?」
「え・・・」
「私、なんでもします。世間知らずですけど、アメリカで1人暮らしもしてましたし、料理も一応できます。家事もします。・・・我儘を言ってることは百も承知です。でも、今、頼れるのは撩さんしかいないんです。どうかお願いします」

撩が驚いているのを無視して、私は一気にしゃべりまくると、頭を深く下げた。

「え、ちょっと待ってよ。いきなりどうしたの?」

私がいきなり頭を下げたので、撩が戸惑って慌てて私の頭を上げさせた。

「どういうこと?」
「私をしばらくここに置いていただけませんか?」
「あー・・・そういうことか」

そう言って、撩はニヤリと笑った。

「もちろん、いいよ。それに、どの部屋を使ってくれてもいいよ。もちろん、おれが住むこの部屋でもいいしね」
「あ、ありがとうございます。あの、お家賃は、今は手持ち分しかありませんので、仕事を探してお支払しますので」
「え?家賃?そんなのいらないよ。君みたいな美人からはいらないよ。家事、してくれるんだよね?だったら、それでチャラってことじゃダメかな?」

笑っていった撩に、私は撩を強い瞳で見る。

「そんなわけにはいきません。住まわせていただくからには、ちゃんとしないと。私、早速、明日から仕事を探してきますね」
「え・・・」

そうと決まればやることをやってしまおう。
唖然とする撩をよそに、私は、さっさと撩に指示を出す。

「撩さん、お風呂できてるみたいですので、先に入ってきてください。私は・・・すみませんが、今日は、撩さんのお家に泊まらせて下さい。空いてる部屋はありますか?」
「え・・・あ・・・」

急にテキパキしだした私に少々の戸惑いを見せた撩だったけれど、ハッと気づいたように言い返す。

「お風呂は君が先だよ、香ちゃん。お客様だしね」

そう言って撩はウインクをする。

「でも・・・っ、私はすでに客ではありません。もう、この家の・・・居候です」

撩を睨むように見ても、撩は笑ったまま。

「そりゃ違うな。香ちゃんはそうだな・・・云うならば同居人、かな。まぁたとえ、仮にそうだとしても、先に入るのは香ちゃんだよ」
「え・・・」

それはなぜ?
私が眉間に眉を寄せていると、撩はニヤリと笑いながら私の背を押す。

「さぁ、そうと決まったら入ってね~」
「あ、あの?撩・・・さん?」
「うんうん、あ、バスタオル?」

戸惑っている私をよそに、脱衣所まで私の背を押したまま連れていくと、淡いピンクのバスタオルを出してきた。

「これ、使ってね。あ、もちろん新品だから気にしないで使ってね」
「あの、いえ、そういうことではなくて・・・」
「じゃ、後でねー」

そういうと、撩はあっさりと脱衣所から出ていった。
何も云うことができないまま、しばらく呆気にとられていたけれど、疲れてるのも事実だったし、お風呂に入ることにした。

湯船に浸かると、今日の疲れが癒されるくらい、心地いいお湯の温かさに、笑みをこぼした。
うーん、と伸びをすると、緊張していたコリが解されていくような気持ち良さが身体を包んだ。

すっかり温まってお風呂を出てバスタオルで身体を拭こうとしたら、バサリと何かが落ちたので、それを拾うと、男物のシャツだった。
私は不思議に思いながら、さっきまで着ていた服を着始めると、衣擦れの音が聞こえたのだろうか、撩が声をかけてきてすごく驚いた。

「あ、バスタオルのとこにシャツが置いてあると思うんだけど、それ、パジャマ代わりに着てね」
「え?」
「おれのだけど、ちゃんと洗ってあるから大丈夫だよ」
「あ・・・」

改めてシャツを広げると大きくて、こんなに撩は大きいのか、と内心驚く。
そして、あの抱きしめられた時の胸板の厚さを考えると、顔を真っ赤にしながら、あぁ、と納得もできる。
でも、もうさっきまで着ていた服をまた着始めていたし、どうしよう?と思ったんだけど、まだ全部着たわけではなかったし、何より撩の気遣いが嬉しかった。
なので、それを脱いで、撩が貸してくれたシャツを着ることにした。
シャツが大きいので、膝上丈ではあるけれど、スッポリと身体が隠れた。
色が濃いので、下着はつけてなくても大丈夫・・・そう?

私は、ちょっとだけ扉を開けてキョロキョロして、撩がいないことを確認してから出ると、恥ずかしいながらもリビングへ向かった。

「あの・・・撩・・・さん・・・?」

そっと中を窺うと、撩はソファで煙草を燻らせていて、その姿に、ドキッ・・・とした。
物憂げな表情をしながらぼんやりして、紫煙を吐き出している撩に、男の色気とカッコ良さで、ただでさえ身体が熱いのに、さらに熱くなってきて目眩がしそうになった。

私の視線に撩が気付いて、フッと微笑う。

「どう、ゆっくり入れた?」
「は・・・はい。あ、あの、お先に上がりました。どうも、ありがとう、ございます」
「何してんの?そんなとこにいないでこっち来てお水でも飲めば?」
「あ、はい」

冷蔵庫から持ってきたペットボトルのお水を持って中に入ると、撩が一瞬、目を見開いて私を見た。
でも、私はそれに気づかずに、撩の向かいに座って、コクコクと飲み始める。
はぁ、と息をつくと、撩がクスッと笑う気配がした。

「着たんだ、それ」
「え・・・?あ、はい。お言葉に甘えさせていただいて、着させていただきました」

顔が赤くなりながら答える。

「よく似合ってる」
「え・・・」

そうかな、と私も今着ている撩の服を見る。
なんだか、撩に一歩近づけたような気がして、ちょっと嬉しくなる。

「あ・・・りがとうございます」

そしたら、撩がプッと吹き出した。

「今、礼を言おうかどうか迷ったろ」
「え・・・ええっ?違いますっ」

そうじゃないんですっ。
嬉しかったんですっ。
私は首をブンブン振って、ぷぅ、と唇を尖らせてみる。

「撩さんって少し意地悪なんですね」
「えー、そんなことないって」

撩はクスクス笑いながら立ち上がると、部屋へ案内してくれた。
客間で誰も使ってないから、使っていいよ、とのこと。
私は、御礼を言って、そこで今日は休ませてもらうことにした。

疲れていたんだと思う。
ベッドに入ったら、すぐに眠りについて、朝まで起きることはなかった。



********



朝、いつもと同じ時間に目が覚めた。
目を開けると、私の部屋の天井と違う・・・?と思って、ハッと起きた。
そうだ、ここは撩の・・・。

私は、急いで着替えると、キッチンへ行って、朝食を作り始める。
まだ撩は起きてないみたいでホッとした。

家では、朝はパン食だったので、まずはパンがあるかを探したら、見つかったので、それを焼いてる間に、簡単なサラダと目玉焼きを作る。
昨日、コーヒーを淹れてくれたところをみると、コーヒーが好きなのかもしれない。
ふと見ると、コーヒー豆とミルが置かれているから豆をひいているのだろう。

私も豆をひいて、コーヒーを淹れてみる。
すると、香ばしい匂いが辺りを包む。

ん~、いい匂い。

私は、ふと微笑む。
この匂いにつられて撩が起きてくればいいのにな、なんて思いながら。

それでも、やっぱり撩は起きてこないので、起こしに行くことにした。
部屋の前で一度立ち止まり、ドキドキする胸を押さえて深呼吸をする。
寝ている男性の部屋に入るのは初めてだから、緊張して胸の鼓動は速くなるばかり。

―――大丈夫、大丈夫よ、香。
ただ、撩を起こしに入るだけだから。
そんなに緊張してたら却って撩にヘンに思われるわ。

うん、大丈夫。
そう1つ頷くと、私は撩の部屋へと入って行った。

「・・・・・・きゃっ」

撩は腰から下に軽い布団をかけているけれど、上半身は何も着ていなくて、顔が真っ赤になった。
逞しい腕と、厚い胸板。
そして、割れた腹筋。
その鍛えられたキレイな身体に思わず見惚れる。

・・・と同時に胸のドキドキは最高潮。
ど、どうしよう。
あたふたとして、ベッドから少し離れたところで行ったり来たり。
ドキドキしすぎて、撩を揺り起すことは到底無理だ。
どうしようか迷った私はその場所から声をかけることにした。

「あの・・・撩・・・さん?朝、ですよ?」

控えめに声をかけても、返事はない。
えー、どうしよう?
やっぱり揺り起した方がいいのかしら?

今度はもう少し大きな声で言ってみる。

「撩さんっ。朝ですよ」
「・・・んー・・・」

ドキドキッ。

撩が発した吐息のような呟きが、その、色っぽくて、耳も首も赤くなったのが自分でも分かる。

「撩さんっ」
「・・・んー・・・」

どうやら返事をしているみたい。
私は、ちょっと可笑しくてクスッと笑ってしまう。
少しずつ近づいて、ベッドの側まで来る。
まだ胸のドキドキは続いているけど、起きてくれなきゃ朝食が冷めてしまう。

「撩さん、起きて下さい」

ベッドの側で言うと、反応がない。
あれ?
そう思って、もう少し大きな声で。

「撩さんっ。起きて下さい」

やっぱり反応はない。
どこを触っていいのか分からなくて、顔を真っ赤にしながら、おそるおそる撩の肩に触れて、ポンポンと叩いてみる。

「・・・ん」

少し身動ぎするものの、起きないので、意地でも起こしてやる、と直接耳元で呼んでみることにする。
耳元で囁いた。

「撩さん。起きて下さい。朝ですよ」

すると、ピクッと反応して目をパチっと開けて驚いたように私を見ていて、私の方がビックリした。

「え?撩さん?」
「あ、あぁ・・・何でもない」

そう言うと、ムクリと起きてふぁぁ、と大きな欠伸をすると、ニヤリと笑う。

「それにしても、香ちゃんって天然?」
「え?」
「だって、部屋に入ってきたのはいいけど、あたふたしてるし真っ赤になるし、行動が見てて面白い」

一瞬、云われていることが分からなくてポカンとしたものの、それが今さっきの行動だと分かると途端にボンと真っ赤になった。
それに、撩の言葉だと、すでに起きていた、ということになる。
思わずムッとする。

「なっ、起きてたんだったら、始めからちゃんと起きて下さいっ!」

私がそう抗議すると、撩はしれっと言い放つ。

「えー、だって香ちゃんたら可愛いんだもん」
「え・・・・・・ええっ?!」
「だから、せっかくだし香ちゃんに起こしてもらいたいなーって思って」

顔が真っ赤になるのを止めることはできなくて、オタオタしている私を見て、撩が肩を揺すって笑いながら見ている。

「うん、やっぱり香ちゃんって見ていて面白いよね」
「面白いって何ですか?!」

私の問いは素通りして、撩がまだ笑いながらベッドから降りると、私の頭をくしゃっと触って「おはよ」と言った。

ドキン。

私の胸が甘く痛んで、身体を包む。
撩の手が頭に触れて、くしゃっと触る、その感触。
私に言った朝の挨拶。
撩の掠れたような甘い声。

そのすべてが私を刺激する。

もう、朝からどれだけ私をドキドキさせるの?!

手で胸を押さえて振り返ると、もう撩は部屋を出ていった後だった。
下から「おっ、いい匂いしてる」という声が微かに聞こえる。

初めて聞く撩の「おはよ」に、私は嬉しさと気恥ずかしさで胸がいっぱいになりながら、慌てて下に降りて行った。







++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

続きます。
ハッΣ(゚Д゚)
本当は許婚が誰なのか言うところまで描くつもりだったのに!
長くなってしまうので、一旦、ここで切りますね☆
中途半端ですみません・・・m(__)m
といいつつ、許婚が誰か、もうお分かりですよね~(^^ゞ
香ちゃんを可愛く、お嬢様らしく描こうと思っているのに、描けない自分が歯がゆいです(/ω\)
やっぱりパラレル、難しいです(T_T)
少しでも、香ちゃんが可愛く、お嬢様らしく見えてますように☆☆☆
今回、ほとんど話が進まなくて、ホントにすみません~(>_<)
次回、少しでも話が進むようにがんばりますっ!

【 2013/09/01 (Sun) 】 NOVEL | TB(-) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
撩&香の一コマ♪
プロフィール

実梨

Author:実梨
シティーハンターが好きで、二次創作を始めました(^^ゞ
カッコいいリョウと可愛い香ちゃんを目指して、日常の色んな2人を描いていけたらいいな、と思ってますv
初心者なので、まだまだ未熟で駄文ばかりではありますが、少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです♪

更新履歴
・ 8/ 24 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 7/ 18 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 6/ 16 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 4/ 22 MEMOに拍手御礼(お待たせしてすみませんでした)
・ 4/ 17 遅ればせながら香ちゃん、お誕生日おめでとうvv
・12/ 7 サイト6周年vホントにどうもありがとうございますvvv
・11/ 13 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・11/ 2 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・10/ 19 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 8/ 10 EVENTに5周年記念SS(後編)をUP&MEMOに拍手御礼
・ 8/ 4 EVENTに5周年記念SS(前編)をUP(今更ですみませんっ)
・ 7/ 13 MEMOに拍手御礼
・ 7/ 2 NOVELをUP
・ 6/ 1 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 5/ 23 NOVELをUP
・ 5/ 5 MEMOに拍手御礼
・ 4/ 10 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 3/ 31 香ちゃんお誕生日おめでとうvv
・ 3/ 26 撩ちゃんお誕生日おめでとうvv
・ 3/ 23 NOVELをUP
・ 3/ 14 MEMOに拍手御礼
・ 3/ 2 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 2/ 19 NOVELをUP
・ 2/ 10 SSSをUP
・ 2/ 1 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 1/ 22 MEMOに拍手御礼
・ 1/ 10 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 1/ 5 どうぞ2014年もよろしくお願いしますvNOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・12/ 31 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・12/ 29 MEMOに拍手御礼
・12/ 25 NOVELをUP
・12/ 24 NOVELを2話分UP
・12/ 15 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・12/ 7 サイト5周年~♪ホントにどうもありがとうございますvv
・11/ 28 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・11/ 18 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・10/ 20 MEMOに拍手御礼
・10/ 5 MEMOに拍手御礼
・10/ 4 NOVELをUP
・ 9/ 23 NOVELをUP
・ 9/ 16 LINKに素敵サイト様1件追加!&MEMOに拍手御礼
・ 9/ 1 NOVEL2話目をUP&MEMOに拍手御礼
  ・ 8/ 15 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 8/ 5 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 7/ 30 NOVELをUP&MEMOに拍手御礼
・ 7/ 7 七夕SSをUP
・ 6/ 30 NOVEL1話目をUP&拍手御礼v
・ 6/ 17 ついに!新しいPCになりましたーっvvv&拍手御礼v
・ 2/ 8 EVENTに4周年記念SSをUP&MEMOに拍手御礼v
・ 1/ 20 LINKに素敵サイト様1件追加!
・ 1/ 8 NOVELにお正月SSをUP&MEMOに拍手御礼v
・ 1/ 2 2013年v新年あけましておめでとうございますvv今年もどうぞよろしくお願いいたします☆
FC2カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。